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賢者のことば 連載8

賢者のことば


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2005/02/08
 フィリッピンからの賢者のことば (8) 戻る次へ




 ・・・ 良薬は心に痛し ・・・

誰かを たまらなく
愛しく思うときが あなたにも きっとくる

夢の世界から 現実の世界へ
連れ戻したい そして 抱きしめたいと




 思春期の心乱れる複雑な思いは、伝説にも物語にも小説にも映画にも、有史以来、様々に、語られ、語り継がれてきた。 これからも、そうであろう。 およそ、語り尽くせるものではない。 それは、一つとして、同じ人生がないからである。

 それでも、この詩が言うところのものは、人が生まれて、死んでいくように、誰にでも例外なく、当てはまるものでしょう。 そして、「夢の世界から」 が暗示しているように、それは、"至福の時" ではない。 誰しも、"胸痛む思いを経験する時" ということでしょう。

 この悩ましい、"時" というものは、長い人生の中の、一瞬の出来事のようでいて、その渦中にあるときは、それが永遠に続くような思いもするものだ。 恋心という言葉も、自分には無縁で、他人事だという人でも、また、何人もの恋人を手玉に取るような人でも、例外なく、その "時" は、きっとくる。

 人を愛しく思う心は、何も、恋心だけではないかも知れない。 親離れした子供に対してかも知れない。 家族との絆のことかも知れない。 失くした人のことかも知れない。 亡くした人のことかも知れない。

 いずれの場合にしても、今は叶わぬ心の願いに、胸痛む思いをするのは同じだ。 これとて、思春期に限らず、すべてではないにしても、誰しも、避けては通れない。


 そして、それは、「良薬は口に苦し」 というのと同じで、愛しく思う心こそが良薬となり、「良薬は心に痛し」 ともいえるかも知れない。 いつしか、傷も癒え、忘れられない懐かしい思い出の一つとして、長く心に残る "時" もまた、きっとくる。






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