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私のチュン 連載5

私のチュン


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2005/02/18
 換羽のこと 戻る次へ


 チュンは夏になると暑いのか、大体、頸周り、後頭部から羽毛が抜け始め、それが頭頂部へと広がって行くのが例年のことだった。 そして、寒くなると、それがまた、徐々に再生してきて、真冬には見違えるように、元通りの立派な羽毛になる。 例年といっても、ここ五六年のことで、若い頃は、換羽 しているとは気付かない程のもので、禿頭の姿など、想像もしていなかった。

 だから、チュンの頭が禿げだした当初は、精神的なストレスの影響だろうとか、育て方が悪いのかとか、栄養が不足しているのかとか、日光浴がたりないのかとか、色々と心配もして来た。 それに、チュンが隣近所の人の目に触れたら、虐待していると思われるかも知れない、という脅迫観念もあってのことか、私の頭の方も薄くなり出したのも、この頃である。


 それが、今シーズンは、異変が起きている。 いつもなら再生されている筈の羽毛が、更に、脱羽が進んで、前頭部まで禿げて来た。 今、残っているのは、少しばかりの耳羽と、嘴の基部から前頭部に到る一部と、頬の白い羽毛のほんの一部と、顎下の、これも、ほんの一部である。 だから、ハゲワシが、ちょび髭を、鼻の下ならぬ、鼻上に着けたような姿と似ているかも知れない。

 しかし、頭は禿げているが、人間の禿げ頭のように、肌色のつるつる光っている様子とは異なり、子供の坊主刈りのように見える。 それは、頭の皮膚が黒っぽくて、ご存知の鳥肌だから、つるつるではないからだ。 鳥の頭は、とても小さな羽毛が、緻密に生えている処だから、鶏肉のような鳥肌ではない。 どちらかといえば、毛の抜けたビロード生地といったところかも知れない。


 頸部から頭部にかけて、このような状態だから、他の処にも影響が出ている。 外見的には、翼や尾羽や腹部や背部は、ほころびてはいても、問題が無いように見える。 しかし、人間で例えて言うならば、下着や上着を着ないで、素肌で直接、コートを着たようなものだ。 伸びをしたりするとき、翼を広げるが、赤銅色の素肌が、丸見えだ。 それに、そのコートの丈も短くて、臀部が丸出しである。 ニワトリの裸体を見たことがあると思うが、肛門は、「でべそ」 のようである。 まあ、この臀部は、無理に覗かなければ、目につかない。

 このような状態で、この冬を過ごすのに、寒くなかろう筈がない。 かといって、留守中にエアコンを入れっぱなしする訳にはいかないから、電気カーペットを入れて、毛布を置いておく。 もちろん、トンネルを作っておく。 すると、何も教えていないのに、帰宅してみると、ちゃんと、毛布の中にいるから偉いものだ。 それも、直接、カーペットに触れると暑すぎるのか、上にも下にも毛布がかかるようなトンネルのなかにいる。


 最近は、知恵がついて、腹が減ると毛布から飛び出し、鳥篭の中の常設の餌場に向かい、一息つくと、急いで又、毛布に飛び込む。 私の若かりし頃の、掘り炬燵から離れられなかった頃と同じだ。 炬燵の中から頸だけ出して、立ってる者は親でも使え、という時代があった。

 このような状況下でも、水浴びは欠かさないから、この根生だけは、真似の出来るものではない。 こんなに寒がりなのにですよ。







頭掻きのこと
 さらに、前に紹介したように、片方の目がどうも白内障のようで、見えない。 更に、最近は、体力の衰えが目立ち始めた。 どんな鳥でも、毛繕いをするが、そのとき、よく 「頭掻き」 をする。 チュンが頭掻きをするとき、口を、あーん、と開けて、恍惚の表情を見せる。 余程気持ちがよいのであろう。

 (1)項の写真 を見て貰ったら分かるが、チュンの爪は、結構鋭い。 こんな爪で頭を掻いたら、血だらけになると思うのだが、気持ちが良いとは、どういうことだろう。 それも、頭掻きのときの足の振動数は大変なもので、ルルルル・・・と舌先を、呼気でもって振動させるときの振動数と同程度である。 家内なども、これが出来ないのであるが、そのような人には、見てもらうのが一番だ。 あえて振動数で表現するなら、20回/秒 ぐらいかな。

 どれほどの痛さのものか、試してみたことがある。 チュンは、私の手の平の上で、リラックスしている様なときにも、頭掻きをよくするから、そのとき、そっと、指先を近づける分けだ。 ぜんぜん痛くない。 むしろ、気持ちが良い、といっていいだろう。 指先の力を抜いているから、例えれば、はたきで、ぱたぱたしている感じである。 これが闘鶏のシャモでやられたら、それこそ血だらけになるだろう。






 頭掻きには、「直接頭掻き」 と 「間接頭掻き」 があるが、スズメは、「間接頭掻き」 である。 言葉で説明するのは難しいが、人間でいうなら ・・・ 次のようになろうか。


間接頭掻き
Atamakaki_kansetu
ツバメの間接頭掻き
 中腰になって、片足立ちをして、手を広げ、浮いた方の片足を脇の下から肩の上の方に回して、後頭部を掻くようなものだ。

 そのままの姿勢で頭を左右に回転させれば、喉元まで掻くことが出来る。 これは、中々出来るものではない。

 この間接頭掻きは、大型の鳥では見たことがない。 小鳥に多い。

 cf. コムクドリの頭掻き










 それこそヨーガの達人レベルでも、出来ないのではないか。 鶴のポーズとか、ライオンのポーズとかは見たことがあるが、間接頭掻きのポーズというのは聞いたことがない。

 きっと、真似が出来ないからだろう。 また、付け加えれば、実際の鳥は、翼を大げさには開いたりしないで、さりげなく行う。








直接頭掻き
Atamakaki_tyokusetu
ササゴイの直接頭掻き
 片足立ちをして、頭を下げ、浮いている方の足で、頭を掻く。


 これなら、今の私では出来ないにしても、少し体の柔らかい人なら簡単に真似ができるだろう。
















 チュンの体力の衰えを感じたのは、第一に、この頭掻き (間接頭掻き) が上手く出来なくなったことだ。 要するに、頭掻きをするには、片足立ちにならなければいけないが、これがこけてしまうのだ。 本当に、ばたっと、こける。 それでも、翼をつっかい棒にして、上手くいくこともある。

 第二に、最近は最下段の止まり木で寝るようになった。 以前は、朝見ると、いつも最上段にいた。 目が不自由でも、体力が衰えても、身の保全上の問題で、何が何でも、最上階で眠ることが必要であった。


 ここまで赤裸々に紹介すると、チュンが、醜い老人の姿のように思われるかも知れないが、そうではない。 実に可愛いのである。 それなら写真を見せろといわれるかも知れないが、写真はない。 撮らないと心に決めている。 (1)項の写真 が最後だ。

 それに、助かることもある。 以前は、外出するとき、後追いされて困ったが、最近は寒いからか、毛布から出られず、その心配もない。 ただ、食欲も旺盛ではあるが、少し気になる衰えようである。 頑張って、この冬を乗り切って欲しい。 そうすれば、春も来る。






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