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私のチュン 連載13

私のチュン


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2005/08/14
 チュンの好きな食べもの (2) 戻る次へ


 チュンが、好きとは思うが、餌として与えたことがないものがある。 生餌 いきえ である。




§ 足腰が強かったチュン
 チュンが若かりし頃の話だ。 三段あった止まり木の最上段から、最下段の止まり木まで飛び降りることができた。 早道のための、ショートカットだ。 ジグザグに止まり木を固定していたから、垂直に飛び降りることになる。 何のためらいもなく、軽々と、やってのけた。



 チュンの家(鳥篭)の大きさは、D40 x W35 x H75 である。 また、スズメの全長 (嘴の先から尾羽の先まで) は、14 cm ほどであるから、水泳の高飛び込み台から、飛び降りるようなものだろう。



 ときには、止まり木から、金網に飛び移ることもある。 そこから、また、もとに飛び移ったり、それを繰り返したり、する。  喜びを表現しているようだった。 また、ときには、金網に、へばりついたまま、ずりずりと、床まで、滑り降りてくることもあった。

 また、チュンの家の外壁を、よじ登ることもあった。 登りは、翼をバタつかせて、浮力をつけ、脚を使って、上がって行く。 そうして、屋根の上で、しばらく周りの景色を楽しんだあと、また、前述のようにして、ずりずりと、滑り降りるてくるから、まったく、遊んでいるとしか、思えない。



 歳をとるに連れ、中間に、止まり木を増やしていった。 最高、六段になった。 少ない労力で、登りやすくするためだ。 チュンは、体力が落ちてきても、とにかく、高いところに居ないと、気がすまない性格のようだから、仕方がない。 これも、身の安全を守るための、本能だろう。



 目も悪くなっていたから、ときどき、すかを食らい、足を滑らして、落ちることがあった。 痛々しくて、見ていられない。 とにかく、マッチ棒のように、細い脚である。 骨折でもしたら致命的だろうと思うと、気が気でない。

 今は、上の二段を外し、四段にしている。 危ないから、低くした。 しかも、各止まり木を、X字状に交差させた。 止まり木を横に移動すれば、否が応でも、その上段の止まり木に、頭をぶつけるように配置した分けである。 こうすれば、目が悪くても、最上段まで上がれるはずだ。


 ところが、私の目論見に反して、わざわざ、その下をかい潜ったりして、ウロウロするだけで、上には登れなかった。 その交差点を外すと、距離が離れる一方だから、感覚がつかめなかったのだろうか。


 それに、昔から、どうも、模様替えという変化に、直ぐには順応できなかった。 汚れた止まり木を、洗っただけで、しばらくは使わない。 自分の家だけではない。 チュンが、そわそわと、落ち着きがないなと、思ったら、新しい花瓶などが、部屋に置いてあったりした。 チョッとした変化に直ぐ気付く。 不思議なほどである。 ところが、私は、家内が髪を切ってきても、言われるまで、気付いたことがない。


 それでも、直ぐに慣れて、最上段に登れるようになったから、さすがに、チュンはえらい。 夜は、必ず、家(鳥篭)に入れて、出入り口を閉め、寒さよけに、鳥篭をタオルケットで包む。 冬は、更に、段ボウルで囲む。 そうして、朝になって、見ると、最上段にいることが多い。 床にいることは、決して、ない。


 ところが、止まり木を順番に使って、下に降りることができない。 目の不自由なものにとって、下りは難しかろうと思う。 朝は、私が手助けする。 手を差し出すと、自ら乗ってくる。 これが、日課だ。


 それ以外のときは、手助けがなければ、チュンは飛び降りることを選ぶ。 めくらめっぽうで飛び降りるから、下の止まり木にぶつかったりして痛々しい。 二三階の窓から、目をつむって飛び降りるような感覚だろうと思う。 それでも、チュンも鳥だ、平衡感覚は優れている。 頭から落ちるようなことは決してない。


 チュンの好物の話に、何を長々と、関係のない話をするのかと思うだろうが、そうではない。 多いに関係がある。 今のチュンとは、全く違う、若々しいチュンを想像して欲しかったからだ。 当然、頭も禿げていないし、羽毛の艶も、張りもあった。 飛べないとは言っても、四五十センチは、軽くジャンプもできた。







§ 目もよかったチュン
 そんなチュンが、最上段の止まり木から、目で何かを追っている。 体も、それに追従するように、右に左に移動させたりしている。 何をしているのか、初めは、わからなかったが、部屋の隅のほうを、コバエが飛んでいるのを見つけたらしい。 チュンの眼も尋常じゃあない。 人間が太刀打ちできるものではない。


 頃や良しと、見届けると、最上段から、一気に、最下段の止まり木に飛び降りるや、出入り口を飛び出して行った。 そして、そのコバエにジャンプして、見事、一発で捕らえた。

 獲った好物は、誰かに盗られない様に、安全なところまで、走って持って行くのがきまりだ。 チュンは、コバエをくわえたまま、だぁー、と鳥篭の隅に走って持ってきた。

 「やめてー」 と家内が叫ぶが、もう遅い。 チュンは、そのコバエを食べてしまった。



 チュンが、我が家に来たのは、巣立ち直後だから、狩の経験はないはずだ。 また、蛋白質は与えてはいたが、メインは穀物類だったし、また、それが好きだ。 それなのに、誰が教えたというものでもないのに、見事な狩をした。



 チュンには悪いが、ハエはやめて欲しい。 せっかく、チュンの腸内細菌が、我々と同じようになった筈なのに、また、一からやり直しだ。 パンが固いからといっては、私が噛んで、やっていたし、すべて、私が食べているものを、原則として、与えていたからだ。







§ アリには弱い
 そんなチュンの足元を、小さなアリが横切った。 それに気付いたとき、チュンは飛び上がって驚き、後ずさりした。 もちろん、逃げるぐらいだから食べもしない。 アリスイ は、アリが好物というのに、チュンはどうして食べないんだろう。



 このとき私は、アリがチュンに近付いて来ることを知っていた。 チュンはどうするか。 アリぐらいなら、もし、食べたとしてもいいだろう。 そう思って黙って見ていた。 ところが、この始末だ。 以外に気が小さい。







§ 危険がいっぱい
 その頃のチュンは、網戸の外に張り付いて動いている小さな虫を見つけては、飛びついていた。 もちろん、捕らえることはできない。 そんなある日のこと、気がついたら網戸とガラス戸の隙間に挟まって、チュンが動けないでいた。 発見が遅かったら危なかったかも知れない。 もがいて脚でも折られたらお終いだ。


 以後、外出時は、窓は閉めることにしている。 しかし、窓の鍵はしたことがない。 団地の二階であるから、泥棒も来ないだろう、盗られるものもないだろう、と思っていた。

 ところが最近、近くで三階の人が泥棒に入られたというから、安心できない。 また、理事長さんから、防犯対策のため外出時には必ず窓の鍵をかけるように、との連絡もあった。


 今、気がついたが、むかしよく見かけた、よく網戸に張り付いていた、あの小さな昆虫類を見かけななくなった。 確か、ウンカといったと思うが、バッタを四五ミリほどの大きさにしたようなものが沢山いた。 また、ハエも少なくなったようだ。 蚊も昔ほどではない。

 人間に好まれないものが、徐々に姿を消しつつある。 だからこそ、気が付かないでいる。 何かが、確かに変わってきているということに。





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