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私のチュン 連載7

私のチュン


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2005/03/13
 私の手を、何と思っているのか 戻る次へ


 チュンは、私の手のことを、時には、母親と思い、また、時には、一人の仲間と思い、喧嘩相手でもあるらしい。  寒い冬のこと、炬燵に潜って、私が昼寝していると、チュンが、コツコツ・・・(16分音符) とやさしく手を突いている。

 私の手が、グーの形になっていたから、手を開けと合図しているのだ。 手を開くと、ちょこっと、乗ってくる。 暖かい手で抱いてくれることを知っている。 そして、炬燵の中に、一緒に入れてくれることを知っている。 私が子供の頃のような、練炭炬燵ではないから、中毒することも無い。


 私がゆっくり手を閉じると、身体をよじらせ、むずむずと、にじり動き、すっぽりと収まるような位置に座をしめる。 お腹をぴったりと、私の掌に着けている感触がする。

 スズメも、白鳥がよくするように、頭を翼に突っ込んで寝るのが普通である。 しかし、このように、私の手の上で寝る時は、私の親指と人差し指が作る輪の中に、頸を伸ばして突っ込み、その輪の中から顔を少し覗かせて眠る。


 そして、冷たかったチュンの脚と身体が、みるみる熱くなってくる。 お腹を密着させているから、私の手も熱くなる。 全身の力が抜けているから、こんなに小さいにもかかわらず、その大きさから想像する体重より、ずっと重さを感じる。

 安心して、全てを、私の手に託しているのが分かる。 赤ちゃんを抱いて寝かせたことがある人には、分かってくれると思う。 私にとっても、至福の時であった。



 ところがどうだ。 いつ頃から、こうなったか、記憶が無いが、最近は、挨拶無しに無断で乗ってくる。 そして、私が、ゆっくりと手を閉じようとすると、薬指に対して、怒ったように突っつき、「そうじゃないやろ、位置が悪いやないか。 気をつけろ!」 と食って掛かる。

 仕方無しに、私は、もう一度手を開いて、また、ゆっくり閉じていくと、今度は、人差し指を突っつく始末だ。 こんなことを何回も繰り返した挙句、やっとチュンのお気に召した形になったのか、前述のような体勢をとる。


 私が早く寝かせてあげようと、親指でチュンの禿げ頭を撫でてやろうとすると、ぱっと、跳ね起きて、「馬鹿にするな。 この野郎!」 と今度は、親指に食って掛かる始末だ。

 また、一からやり直しだ。 また、前述のとおりのことを繰り返して、最後には、睡魔には勝てないのか、これまた、前述のとおりに、私の手に身を預けて眠るから、可愛いもんだ。






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